“ゲーム脳”の脳波について (3)

 
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脳波のなぜ?その1
脳波のなぜ?その2
脳波の誤解?その1
脳波の誤解?その2
“ゲーム脳”の脳波について(1)
“ゲーム脳”の脳波について(2)

 
筋電図の影響について                          

開眼でゲームをやっている時は、前額部には筋電図が強く入ることが考えられるので、次に筋電図が比較的強く入った場合にどうなるかを検討する。

(縦軸スケールはすべて同じ)
(図をクリックすると拡大される)

これは、正常成人(29歳女性)の開眼安静時の脳波である。やはり、国際10/20法により両耳朶連結の基準で記録し、最上部の赤で示したのが、Fp1-Fp2の双極誘導の波形である。

1の区間は、閉眼安静、
2の区間は、開眼で筋電図が入っている(瞬目が1回)、
3の区間は、開眼だが比較的筋電図が少ない区間である。なお、その後に瞬目が2回入っている。

β波帯域(13〜30Hz)のパワースペクトルのマッピング(スケールはすべて同じ)
1の区間                  2の区間                  3の区間



α波帯域(8〜13Hz)のパワースペクトルのマッピング (スケールはβ波帯域とは異なる)
1の区間

β波帯域(13〜30Hz)のパワースペクトルマッピング表示をみると、1の閉眼安静では後頭部に強く分布しており、これは、このようにα波が後頭部に強く現れている時(下のマッピング図参照)の通常の状態である。つまり、α波が大きい時、またその部位ほど一般にβ波も大きい(脳波のなぜ その1 参照)。なお、この被験者は閉眼時でもやや前額部に筋電図があるが、後頭部のβ波よりは小さい。

2では非常に大きなβ波帯域成分が前頭部中心に現れているが、これはすべて開眼したことによって出現した筋電図である。同様に開眼状態でも、3では比較的筋電図が小さいため同じスケールではほとんど表示されていない。
なお、この本の著者によると「ゲーム脳」を治し脳を活性化するにはお手玉がよいということで、お手玉遊びをしている時のβ波マッピングというのが示されているが(「ゲーム本」には掲載されていないが、先に紹介した毎日新聞の記事には掲載されていた。下のホームページで見ることができる。
  →http://ascii24.com/news/inside/2002/09/03/638336-000.html
ここでお手玉中のβ波とされているものはほとんどが筋電図アーチファクトであって脳波ではないと思われる。お手玉をしている最中の脳波、とくに前額部でのβ波を正確に測定し得ると考える検査技師はいないだろう。お手玉が脳の活性化によいことは確かであろうが、その根拠としてこのようにβ波が増えているというデータを示すのは完全な誤りである。

 


α波およびβ波帯域成分の比率変化の例(その2)                           

その1と同様に、上記波形に3〜30HzのBPFをかけた結果のうち、Fp1-Fp2,C3(左頭頂),O1(左後頭)の3チャネルの波形である。
左側1/3の白の部分は閉眼安静、赤の部分は開眼で筋電図が入っていいる部分、黄色は瞬目が発生した部分である。

(縦軸スケールはすべて同じ)
(図をクリックすると拡大される)

最上段のFp1-Fp2の波形について、その1と同様の手法で時系列的にFFTを行った結果を示す。

α帯域(8〜13Hz)とβ帯域(13〜30Hz)の含有率       β/α

閉眼安静時にくらべ、開眼で筋電図が現れている時にはβ波帯域成分の含有率が増え、とくに強い筋電図がある部分ではβ/α値が大きな値を示す。瞬目時もやや大きい。
このように、前額部Fp1-Fp2では、脳波ではなく筋電図および瞬目、眼球運動のアーチファクトの増減を見ているに過ぎないということになる。

なお、参考に、筋電図アーチファクトの入りにくい後頭部O1-L+Rでの結果を以下に示す。

閉眼安静ではα波が優位で、開眼では強いα-attenuationの状態になり、β/α値が大きくなっている。開眼でβ波帯域の含有率が若干増え、開眼直後に特に大きなβ/α値を示しているが、通常は前述したようにβ波もやや減少することが普通なので、この例の場合、前側頭部での筋電図が大きくそれが後頭部および耳朶の基準電極にやや波及した可能性があると考えられる。



 

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